研究科概要 英米文化専攻
英米文化専攻 博士前期課程
現代と今後の国際社会について
世界の中核を担う英米文化から考察
英米文化専攻では、現代の世界をリードする英米の文化と言語について深く研究することを目的とし、世界を舞台に活躍できる人材、英米の文化や言語を指導できる教育者や研究者などの育成を目指しています。英米の両国は世界に対して多大な影響力を持っていますが、伝統や文化を重んじる英国とあらゆる分野で斬新さを追求していく米国は、異なった姿勢を貫いており、その本質を多面的に考究することで、現代および今後の国際社会についての理解を深めます。
英米の文化を
通時的視点と共時的視点から研究
本専攻では、英国および米国の文化を通時的視点と共時的視点から研究します。英米文化について、その成り立ちから始まる歴史を通時的視点から分析するとともに、現在といった、いわば文化の到達点から総合的に分析する共時的視点から把握することに本専攻の特色があります。「英米文化特殊講義」や「英米文化特別研究」などの科目を通じて、英米の文化を理解していきます。
3つの領域の
いずれかに力点を置いて深く考察
本専攻では英米の文化・文学・語学の3つの領域のいずれかに力点を置いて深く考察し、特定のテーマについて修士論文を作成します。
①英米の文化
イギリスについては、その文化の本質を主として歴史的な観点から研究し、アメリカについては、現代アメリカ社会の多元的文化を中心に広く深く学びます。
②英米の文学
英米の文学のさまざまなジャンルについて理解を深めるとともに、文学作品をもとに、人間の本質を洞察する方法を探究します。
③英語学
英語の音韻、形態、統語、意味の特徴を通時的・共時的観点から深く理解し、その上で具体的な言語資料を分析し、その結果を一般化し、記述できる力を養います。
英米文学の多様なジャンルを理解し
人間の本質を洞察する方法を修得
文学は、一つの地域文化で暮らす人々の思想や感情を理解するための要といえます。特定地域で暮らす人々が日常使っている言葉や言語の精髄が文学に凝縮しているからです。こうした視点から、英米文学を究明するために「英米文学特殊講義」や「英米文学特別研究」などの科目を開講し、その多様なジャンルについて理解を深めていきます。文学という言語資料をもとに、人間の本質を洞察する方法を身につけます。各分野において定評のある教員が指導にあたり、英文の原書を適切に読み込める力も併せて養います。
翻訳技術や英文作成力を養う
英米語を理論面から研究するとともに、文化と文化の接点である翻訳(和訳・英訳)技術や英文によるクリエイティブな文章作成方法、英語論文の書き方など、英米語の運用能力も高めることができます。ネイティブスピーカーの教員による高度な会話の訓練も行われ、トータルとして英語の運用能力を高めていきます。
論文指導方針
研究指導は、英米文化、英米文学、英米語の3領域で行なわれますが、研究科共通の比較文化、現代文化および関連科目も、各自の目的に合わせて履修できます。修士論文作成に向けた研究指導にあたっては、参考文献などの収集方法をはじめ、テキストを正確に理解するための指導を丁寧に行っています。作品に対して、各批評家がどのように論じているのか、その違いを研究するとともに、自らの結論を導けるように指導しています。また、言語学分野においては、先行研究について詳細に調べるとともに、取り組もうとしている研究課題への貢献度を綿密に確認しながら、研究を進めていきます。必要に応じて学会などへの参加も奨励しています。
過去の主な論文テーマ(博士論文)
- 中英語後期におけるThere構文の諸相
- ウイラ・キャザー研究 -女性像とその生き方について-
- 現代英語の複合形容詞の強勢について
- willの持つ中核的意味とその周辺的意味のネットワークに関する意味論的考察
- 『二十日ねずみと人間』と『真珠』の研究 -生と死とモラルにおけるジョン・スタインベックの思想について-
修了後に考えられる進路
高度な英語科教員、博物館・図書館などの文化的機関での専門的担当者、国際交流における専門的担当者。
英米文化専攻 博士後期課程
言語文化の先端的研究手法を取り入れることで、
英米文化の研究を推進できる研究者を養成しています。
博士後期課程の研究領域は、博士前期課程の言語・文学・文化の3研究領域を継承するとともに、発展的に研究を進められるように「英米文化特論」「英米文学特論」「英語学特論」の3科目を設けています。特に言語文化の先端的な研究手法を取り入れることで、英米語、英米文化の個別的研究を一層深化させ、今日のグローバリゼーションに対応できる、豊かな創造性を備えた有為な人材の育成に努めています。
言語文化の先端的な研究とは、例えば科学技術の発展とマルチ・メディアの普及が言語文化に多様化をもたらし、英米文化の研究対象を大幅に拡大させていることに着目し、研究を進めることです。そのほか、国連に加盟する約200か国で使用されている4,000を超える言語が、エスニシティ・民族・宗教文化圏など、国家とは異なる多様な人間集団を統合・分離する基盤となっている現状において、言語文化研究は地域紛争や民族独立といった国際政治問題の解決に役立つという視点を持つことを意味します。こうした広い視点に立った上で、英語・英米文化が国際的な諸問題にどのように関わっているのかなど、個別的研究を一層深化させられるように指導しています。
論文指導方針
院生の独自性を重視して指導に当たります。取り扱いたいテーマについて確認したうえで、適切な指導教員を決定しています。指導教員は2人配置する複数指導体制とし、一人ひとりの研究テーマを幅広い視点からサポートしています。
修了後に考えられる進路
民間教育機関における英語・英米文化の教育者・指導者、各種研究機関における研究者、博物館・図書館などの文化的機関での専門的担当者、国際交流における専門的担当者、翻訳家。