教職研究科 │ 聖徳大学

令和2年度 課題研究発表会を開催して

21.02.10

児童教育コースの部

令和3年2月5日(金曜日)の午後1時から、教職研究科の児童教育コースに在籍する本年度修了予定の大学院生4名による最終の発表会が行われた。この発表会はすでに提出された課題研究報告書とともに成績評価の対象となる重要なものであった。特に今年度は、折からの新型コロナ感染症の影響で学校現場での調査が困難を極め、研究指導にあたられた教員とともに大変な苦労があったものと思われた。それにも関わらず、発表の内容は4名とも例年の発表と同等、あるいはそれ以上に立派なものであった。

発表された研究は、①「『特別支援教育時代の就学相談 ―X市の就学相談件数の増加の要因からみた現状と課題―』と題する、幼児教育機関における発達障害傾向を認める子どもの増加を背景に就学相談の増加に対する分析調査研究」、②「『協働性・日常性を各にした授業研究を通して若手教師はどのように成長していくか』と題する、若手教員の相対的増加を背景にした若手教員の技能向上とその活用による学校力の向上に関する研究」、③「『PDCAサイクルを生かした安全教育の推進及び地域との連携』と題する、防災をテーマに生徒たちの主体性を地域貢献に導かせ学校・家庭・地域を三位一体にさせた研究」、④「『小学校社会科地域学習における補助教材の意義と活用法の研究―第3学年「市の様子のうつりかわり」柏市版補助教材開発を事例に―』と題する、副読本の作成と地域行政者の講演により生徒の地元愛の育成方法に関する研究」の4本であった。

 

 

発表された研究はいずれも次代の教育のあり方に示唆を与えるものであり、その成果はそれぞれの調査対象校に資するだけにとどまらず、広く「全国の学校の教育モデル」になりうるものと思われた。さらにこのことは「教職大学院とは現職教員が地域の学校を対象に実践介入し、それを一般化したモデルとして広く提唱する研究を行う場である」ことを示唆しているものと思われた。

幸い今年度から、研究発表内容が、報告書として地域の関係者に配布されるだけでなく、インターネットで検索可能な本学教職研究科の紀要「教職実践研究 第11号」にそれぞれ4ページの要旨として収載されることになった。これにより、全国の教職大学院の大学院生の方々に研究モデルとして引用していただき、さらに発展させていただけることを願っている。

2021.2.5 久保田健夫(児童教育コース主任)

 

幼児教育コースの部

令和3年2月5日(金曜日)の午後6時から幼児教育コースに在籍する本年度修了予定の大学院3名による課題研究発表会が行われた。夜間の開催になったのは幼児教育コースに在籍する大学院生が当日も幼稚園現場の勤務があったからである。この3名の大学院生は、コロナ禍でも通常の勤務をこなしながら、今日まで大学院の授業を受け、研究を行い、発表準備を行ってきた。3人の努力と頑張りは称賛に値するものと考える。

出席者は専任教員、兼任教員、在籍院生の25名であった。

発表された研究は「園経営と保育の活性化につながる改善について」、「私立幼稚園に求められる子育ての支援―子育て支援プログラムとしての預かり保育の拡充に向けてー」、「若手保育者の困り感と支援の実態」の3本であった。

 

 

 

このうち「園経営と保育の活性化につながる改善」に関する研究は、自分が在籍し将来経営することになる幼稚園の課題を捉え、その積極的な改善に取り組み、新たな教育体制を確立したものであった。本大学院の授業と総合実習の学びをリアルタイムに導入し園の改革を実行した、まさに理論と実践の往還を図った研究であった。

「私立幼稚園に求められる子育ての支援―子育て支援プログラムとしての預かり保育の拡充に向けてー」に関する研究は、自園が地域の教育センターとしての役割を果たすために地域(市)の事業計画を分析した上で、自園の子育て支援プログラム事業を見直し、「保護者・幼児・保育者の3者を支え育てる支援プログラム」を策定した。しっかりしたエビデンスに基づいた研究であった。

「若手保育者の困り感と支援の実態」に関する研究は、若手保育者の困り感を1年目から3年目の保育者へアンケート調査し、経験による困り感の違いを詳細に明らかにするとともに、園の指導者に対してもアンケート調査を行い、若手保育者の実態と支援について分析した。その結果、これからの若手保育者への支援の在り方を示すとともに、園の体制整備と保育者養成機関の教育のあり方が一つになって若手保育者を育成することの必要性が導かれた。幼稚園教諭の「短期離職」の歯止めにつながる示唆を提示した研究であると考える。

以上の3名の研究は、いずれも幼児、保護者、保育者の成長を支えていくための研究であった。この3人の研究が職場で、また全国の幼児教育現場で活用され、幼児教育のさらなる充実と発展に貢献することを願っている。

2021.2.5古川寿子(幼児教育コース主任)

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