教職研究科 │ 聖徳大学

修了生紹介(7)

21.04.02

初任の頃は何もわからないまま,毎日の仕事をすることすべてが新しい学びでした。2年3年…と重ねていくうちに,先輩方のやっている方法を真似しながら,少しずつ子どもたちが満足そうにする様子を見られるようになり,自信もついてきました。

5年を終えて異動になり,職場環境や人間関係を新たにすることは心理的負担もありましたが,2校目では,後輩も増え,分掌でも主要な役割を担う経験を重ねて,学級以外での仕事についていろいろと成長する機会となったように思います。

ところが,10年を過ぎたころから,与えられた環境で日常業務をこなしているだけではこれ以上何が成長していくのだろうと自身のキャリアを見通した時に,先行きを不安に感じるようになりました。

身近なところでは,学習会や大きな公開研究会への積極的な参加などをしてきたところですが,千葉県の長期研修制度,その中でも教職大学院で,学校・教育全体を学び直すことが,この先のキャリア像をクリアにするために必要だと感じるようになりました。当時の校長の計らいで,2年計画で入学することができました。

大学院で得られたことでまず思いつくものが,身近な教員以外の人とのつながりです。交友関係をただ広げるということではなく,他地域で同じくらい職歴を積んできた院生同士で話し合うことを通して,自分の当たり前を問い直すことができました。課題研究で扱った教師の技能発達と非常に似ていて,ほとんどが自分の世界に閉ざされていて,「全体的に」見ているようで,限りなく自分の見方であることを思い知らされました。この先,ある立場で助言をしたり,組織全体の進む道を示したりするような場面が出てくると思います。そうした時に,今年度の学びが支えになるのではないかと,心強く思っています。

先生方との関わりも大きな収穫でした。人数が少ないので,「学生さん」ではなく「飯田さん」として,私の強みや弱みを踏まえて,学びが進むようにはたらきかけてくださりました。今後また現場に戻った際にも,現場にいるからこそできることがあると思うので,実践を提供し,知見に基づいた助言をいただくという互恵的関係で,互いの学びが深まっていくことを望んでいます。

ある先生に「授業はスパークで,ほんのきっかけなんだよ」とお言葉をいただいたことがありました。与えられる学びには限界があり,自分が必要感や興味を持ち,ゆっくりでも着実に考えが深まっていくことが楽しくも感じました。レベルは違えど,学習者主体の学習指導に通じるところを感じたので生かしてきたいと思っています。

また,私たちの職務の裏で働く教育法規や管理的立場から見た個々の学校の制度設計などは全く新しい視点からの学校の見方でした。いろいろと学んだのですが,すべてに通じることとして,教育課程のマネジメントにおいても,学校組織のマネジメントにおいても,他者の視点が深まりを与えるということは学校文化の中で生かしていくべきことだと考えるに至りました。職員が同一歩調を取ることが時には求められますが,それが第一義になり,考えない存在になると,一人一人の違いや個性は足かせにしかなりません。違うからこそ話し合いからいいものがうまれることを意識して,若手でも組織の中で存在感を自ら感じて仕事に当たれるように,ミドルとして関わっていきたいなと考えています。

児童教育コース
飯田昌紀 さん
2020 年度 学校組織マネジメント専修修了

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