教職研究科 │ 聖徳大学

教材作成・教材研究 ―お正月遊び、かるたを通して学ぶサステナビリティ―

26.02.14

「くまのがっこう サステナビリティかるた」  写真提供 (株)キャラ研

 新しい年を迎え、保育の現場においては、お正月に家庭で経験した遊びを楽しむ子どもの姿が多くみられます。凧あげやコマまわし、すごろくなど、日本のお正月には、古くから伝わる楽しい遊びがたくさんあります。かるたもその中の一つです。

 昨年度、筆者は「くまのがっこう サステナビリティかるた」(発売元:(株)キャラ研)を監修させていただきました。完成に至るまでに、教職研究科の院生に協力してもらいましたので、報告いたします。

 かるたは平安時代に貴族のあいだで行われた「貝覆い」と呼ばれるものが由来であるという説や、16世紀頃に来日したポルトガルの宣教師によって伝えられたという説があります。老若男女問わず楽しむことができ、多くの人が集まるお正月にうってつけの遊びであり、江戸時代に庶民の間に広まりました。遊びの中でコミュニケーション能力が育まれたり、文字や数への興味が高まったりします。また、かるたに用いられる五七調のリズムは、記憶にもよく残るといわれています。そのため、これまでに教材としても様々な内容のものが作成されてきました。

 筆者が教材を作成しようとする際に、まず、その内容に関する先行研究をレビューします。今回は、サステナビリティがテーマとなっておりましたので、SDGsやESDについて、情報収集を行いました。ユネスコは、持続可能な開発を実現するために3つの観点、「環境の保全」、「経済開発」、「社会開発」を示しており、「環境の保全」を主軸としながら、「経済開発」、「社会開発」を総合的に推進すること、この3本柱は相互依存的で双方向的に強化し合って進められるホリスティックとして機能することが求められると述べています。先行研究においても幼児教育においては、主軸とされる環境に関わる研究が多く、社会に関するものも見られました。このことを考慮し、幼児には、土台となる環境、社会に関する内容を多く含んだかるたを楽しんでほしいとして、臨みました。

 教材作成において、一通り仕上がったあとに、現場で子どもと関わる方の意見を聞きながら修正するようにしております。このかるたについては、幼稚園で幼児教育にあたりながら、教職研究科で学んでいる院生2名に、「子どもにとって難しい点などはないか」などの確認を依頼しました。また、すべての札に、保護者向けのメッセージも書いており、その部分のチェックも依頼しました。現場で長く活躍し、さらに教職大学院において学びを深めている二人の意見はすべて的確で、さらに幼児が楽しむことができ、遊びの中で学べるよう、修正することができました。そして、製品の説明書には、協力者として二人の名前を入れさせていただきました。

 キャラクター、ジャッキーのかわいらしい表情の絵札の効果は絶大で、全国の幼児たちに愛されています。以下は、協力者、2名のコメントです。

幼児の視点でサステナブルを考える意義を実感し、大学院での学びを超えて社会とつながる経験となりました。学外の活動に参加したことで視野が広がり、新たな気づきを得られました。

                                       在学生 Uさん

子どもたちは私達大人よりも、もっとその先の未来を創造して生きていきます。今回このカルタ製作に携わり、改めて自分のしている仕事が子どもたちの未来を創造していく土台やきっかけととなればといいなと感じました。

今回サステナビリティカルタの製作に携わることができ、今後の社会が人だけでなく、動植物にとってもより良い社会になっていくことが必要だと感じました。このカルタが子どもたちや保護者にとって今後の社会を考えるきっかけになれば良いなと感じました。 

                                  2025年3月修了生 Kさん

上記の教材作成のながれについては、前のブログでも紹介した、幼児教育高度化演習の中でも取り上げております。

      附属幼稚園にて幼児があそぶ場面(写真掲載の許可をいただいております)

文献

橋口睦月・中西章敦(2023)かるたを用いたSDGs教育による興味関心・理解度の変化に関する研究.

日本文理大学紀要,第51巻2号,57-61.

文部科学省国際統括官付日本ユネスコ国内委員会(2021)持続可能な開発のための教育(ESD)推進の手

 引.

酒井たか子・高橋純子(2006)現職日本語教師研修のための総合教材開発 -「日本語を楽しむ」の制作

意図と発展.筑波大学留学生センター日本語教育論集,第21号,201-225.

桐川敦子(2025)これまでの保育に加えたいESDの視点. 保育文化研究第21号,1-11.(印刷中)

                         (教職研究科 幼児教育コース 教授 桐川敦子)

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